Architect解説講座

第1回「ストーリ」

ArchitectDesigner

1.2.5 屋根のストーリ作成

屋根のストーリ作成にはいくつか方法があります。

  • 屋根のストーリに屋根のストーリレイヤを作成
  • 屋根のストーリにスラブのストーリレイヤを作成

前者は切妻屋根や片流れ屋根などの傾斜屋根を作成する際に、後者は陸屋根を作成する際に利用すると便利かと思います。ただ、これは決められたものではないため、お使いいただく中で使いやすい方を選択することができます。
ここでは、陸屋根を想定して「スラブ」ストーリレイヤを作成してみたいと思います。

1. 新規ボタンをクリックします。新規ストーリダイアログが表示されます。

新規ストーリダイアログ

2. 各種パラメータを以下のように設定し、OK ボタンをクリックします。

  • 名前:「屋根」
  • レイヤ名:「後記号」「RF」
  • ストーリの高さ:「6500」
  • 作成するレイヤ:「スラブ-RF」

新規ストーリダイアログ

3. 「RF」という名前のストーリが作成され、オーガナイザダイアログ内の右側にプレビューが表示されます。

オーガナイザダイアログ

4. すべてのストーリを作成したので、オーガナイザダイアログの OK ボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

実践OpenBIM

11. 建築ピボットに聞く

竹口:
開発初期は色々と大変だったのでは。

長谷川:
販売開始直後から環境意識の高いユーザー様に積極的に利用していただき、建設的なご意見をいただきました。 その意見を取り入れ、ユーザー様とともに作り上げることでより良いものになったと思います。

竹口:
顧客志向の開発ですね。

井出:
今も続けていますが、ユーザーさんへ、機能や使い勝手のヒアリングによく行きました。しっかりと意見を頂いたことが、製品開発へフィードバックされています。


長谷川:
それから、啓蒙活動にも力を入れております。 先週も、弊社のユーザー様でなくとも参加いただける、省エネに関する勉強会(省エネ勉強会)を開催いたしました。
弊社の活動や製品が、環境負荷低減に少しでも寄与できればと考えております。


竹口:
今後のBIM連携に関して、感じることは。


村松:
モデリングを行ないながら、意匠デザインの把握と省エネ性能の確認を同時に行なえることが3D(BIM) のメリットだと感じます。
例えば、外皮の熱特性を可視化することで、設計段階で省エネ性能に気がつくことができ、断熱を強化しよう、庇を設置しよう、といった設計フィードバックが可能になります。

断熱性能の可視化-1

断熱性能の可視化-2

インタビュー風景

長谷川:
現在は一方通行で IFC を受けて解析して、という流れですが、今後は IFC で書き出して、モデラーに返せるような開発をしていきたいです。

竹口:
ありがとうございました。
それでは次回、Vectorworks と SAVE-建築の IFC 連携となりますので、よろしくお願いします。

構造システムグループ

実践OpenBIM

10. Solibri Model Checkerの紹介

10-3. まとめ

かなり駆け足でSMCを説明いたしましたが、今回の機能(特にルールチェックの部分)は、ほんの一部分に過ぎません。

実は、公開しているIFCモデルに行き着くまでに、紆余曲折がありましたが、それらのバージョンチェック(変更履歴の確認や管理)でもSMCは活躍しました。

また、「実践OpenBIM」にて協力企業様とやり取りしたIFCも、ネイティブデータとIFCデータでの書出しモデル数に齟齬が無いか、などのチェックで活用しております。

モデリング精度は、モデル作成者自身でその精度を担保すべきなのか、SMCの様な外部ソフトウェアにて確認すべきなのか(確認する場合は、他に確認するリソースが必要)、未だ意見が分かれるところではありますが、SMCが一瞬でルール外の条件を洗い出してくれることは事実です。

また、今後、BIMが建築の情報データベースとして活用された際には、モデリングの精度も然ることながら、情報の精度が要求されてきます。

その際の確認作業は、一体誰が何を用いて行なうのか….難しい問題です。

SMCが日本に上陸して間もないですが、Vectorworksのように皆様に愛される製品となるようにがんばりますので、応援のほどよろしくお願いします。

SMCの詳細はこちらをご覧ください。

実践OpenBIM

9. GLOOBEとのIFC検証

9-8. 検証結果報告

今回検証してみて、興味深い検証結果が得られました。

9-8-1. 階情報の持ち方

IFCには、屋根階という概念があり、それに対応できているアプリケーションとそうでないものが存在します。Vectorworksを含む欧米のアプリケーションは、屋根階を別ストーリとして出力します。

例えば、今回の建物は地上2階、地下1階の建物ですが、屋根階を別ストーリとして出力した場合、アプリケーションによっては地上3階と認識してしまう可能性があります。

そこで GLOOBEでは、別ストーリで出力された階層を屋根階として指定して取込むオプションがあります。

欧米系のアプリケーションとの階情報のやり取りの難しさが垣間みれました。

 

9-8-2. IFCの付加情報の読み取り

Vectorworks、GLOOBEともにデータ構造はしっかりとしており、比較的スムーズな連携が行なえました。

ただ、Vectorworksではスペース名称をカスタム入力で部屋名等を入力しましたが、GLOOBEでは「カスタム」と表記されてしまいました。Vectorworksでは、プリセットデータの部屋名称を選択することで、これを回避できました。

柱や梁、壁はRCなのか、SRCなのかといった情報を持つことができます。

Vectorworksでは、壁や柱といったオブジェクトに「Ifcデータ」ダイアログで情報付けを行なうことで、他のアプリケーションとのデータ連携が可能となります。

Vectorworks側では、「Ifcデータ」ダイアログの「Material」の「Component1」にRCやSRCと記入することで、GLOOBEへ材質データとして受け渡すことが可能ですが、「どこのパラメータに、何のデータを記入するか」といった、事前の取り決めが重要であることが分かりました。

IFCデータ/プロパティ

 

9-8-3. 建具の開き方向

IFCでは、建具の開き方向をデータとして保持することが可能ですが、Vectorworks、GLOOBEともに現時点では対応していません。

Vectorworksは、IFCを3Dの不可逆データとして取り込みますので、形状の再現と情報の連携は他のIFCオブジェクトと変わりがありません。

一方、GLOOBEは、「マッピングテーブル」機能を用いて、GLOOBEのオブジェクトに変換することが可能です。

 

9-8-4. モデルの作成方法

アプリケーションが異なると、各種操作やモデリング方法が異なりますが、VectorworksとGLOOBEとの大きな違いがありましたので、ここに紹介いたします。

Vectorworksは、柔軟なモデリング方法に定評があり、後からIFCデータを追加することで、どのような形状でもIFCとして出力することが可能です。

一方、GLOOBEは柱等の建築オブジェクトを自由な形状に変更することが可能です。

例えば、詳細なエンタシス柱をIFCで出力する際、Vectorworksでは、モデリング後に「これは<柱>です」と言った宣言をモデルに与えます。

ミニツール

リアルタイムパラメータ

Vectorworksのプラグインオブジェクトには、様々なパラメータが搭載されており、開口部の編集を自由に行うことができます。ただ、開口部のスタディーとしていろいろな大きさを検討したい場合、データパレットや設定ダイアログで入力するよりも、スライダーなどで直接的に変更したいときがあります。そこで、窓の幅や高さ、高さ位置をダイレクトに調整できる道具をつくりました。

“リアルタイムパラメータ” の続きを読む

実践OpenBIM

8. CADWe’ll TfasIV との連携

8-4. まとめ

ご存知の方も多いかとは思いますが、ダイテック社の設備CAD製品の歴史は長く、ユー ザーも多く抱えています。

その製品がopenBIM対応となったことは、本格的なBIM時代の到来を物語っていると言えるのではないでしょうか。

CADWe’ll TfasIV、Vectorworks Architect 双方のIFCは相性も良く、モデルの欠落等は皆無でした。

また、設備のように3D上で複雑に納まる物体は、3D的な視点で確認しながらモデリングすることで、ミスが減り効率的になります。

CADWe’ll TfasIV は、設備設計に特化しているため、Vectorworksのような意匠系アプリケーションでは到達できない操作・モデリング環境を有しています。

建築では分業が進み、それぞれが手になじんだツール(BIMアプリケーション/CAD)を持っています。

BIMはツールではなく、概念です。手になじんだツールを持ち替えることなく、IFCのような標準化されたファイルを用いて、スマートでオープンなファイル交換を目指すことが重要です。

 

モデリング協力
株式会社ダイテック
株式会社ダイテック

使用アプリケーション
CADWe’ll TfasIV
CADWe'll TfasIV

CADWe’ll TfasIVの詳細は、株式会社ダイテックまでお問い合わせ下さい。