今回は、作成した3Dモデルに撮影した写真を合成し、リアルなイメージ制作が行える「Camera Match」の使用方法をご紹介します。
「Camera Match」は、写真の上に消失点を設定し、3Dモデルの透視投影表示を写真と合わせる機能です。擬似影の作成やマスキングによって、よりリアルなパースイメージを作成できます。
目次
- 14-1. 背景画像(写真)の準備
- 14-2. モデルの向きを設定する
- 14-2-1. Camera Matchリファレンスを配置する
- 14-2-2. Camera Matchリファレンスの設定
- 14-3. Camera Matchオブジェクトの配置・設定
- 14-3-1. ビューポートを作成する
- 14-3-2. Camera Matchオブジェクトを配置する
- 14-3-3. コントロールラインとリファレンスターゲットを調整する
- 14-3-4. ビューを調整する
- 14-4. レンダリングする
- 14-5. Camera Match マスク
- 14-5-1. Camera Match マスクを配置する
- 14-5-2. Camera Match マスクのクローンモード
- 14-6. まとめ
14-1. 背景画像(写真)の準備
背景画像を選択する際は、以下項目に注意しましょう。
画像サイズについて
最終的に作成するイメージと同じサイズ、解像度の背景画像を推奨します。
レンズについて
遠近感を強調したり極度に歪んでいたりする、特殊なレンズで撮影した画像は合成できません。
モデルのスペースについて
画像は、3Dモデルが入るスペースを確保しましょう。
カメラの向きについて
カメラの向きが建物の正面のちょうど垂直になっているなど、写真を正面から撮影してコントロールラインがほぼ平行になると、計算するビューはエラーを起こしやすくなります。
同じく(撮影時の)消失点が写真の中心の至近距離にあると、計算されるビューはエラーを引き起こしやすくなります。
14-2. モデルの向きを設定する
背景画像に合成するモデルの向きをCamera Matchリファレンスで設定できます。3つの軸で消失点を定義しています。
Camera Matchリファレンス: |
Camera Matchに対して3D空間におけるモデルの向きを設定します |
基本的にモデルのコーナーに配置し、2つの軸はコーナーで接する壁など、別方向の2つの垂直面に沿わせます。
14-2-1. Camera Matchリファレンスを配置する
1. ビュー>Camera Match>Camera Matchリファレンスを配置を選択し、任意の名称を入力します。
2. モデル上の任意の位置で一度クリックし、マウスを動かすと青軸を中心に回転します。方向をモデルに合わせ、もう一度クリックすると配置完了です。
14-2-2. Camera Matchリファレンスの設定
Camera Matchリファレンスを配置したコーナー角が90度でなければ、オブジェクト情報パレットの角度に数値を入力するか、2D/平面のビューから角度を変更できます。
また、オブジェクト情報パレットから内部コーナーのオンオフが設定できます。
Camera Matchリファレンスを配置したポイントが(屋内から見た場合などの)内部コーナーに配置されている場合は、「内部コーナー」を有効にします。
14-3. Camera Matchオブジェクトの配置・設定
背景画像は「ただ単純な画像」としてではなく、Camera Matchオブジェクトとして取り込みます。
14-3-1. ビューポートを作成する
合成するモデルをすべて表示させ、任意のシートレイヤにビューポートを作成します。
ビューポートの詳しい作成方法については、Architect解説記事:第6回「ビューポート」をご参照ください。
14-3-2. Camera Matchオブジェクトを配置する
1. 作成したビューポートをダブルクリックし、注釈を選択してOKボタンをクリックします。
2. ビュー>Camera Match>Camera Matchオブジェクトを配置を選択し、背景画像を選択します。
3. Camera Match設定ダイアログが表示されます。
背景画像 | 「現在のファイルから選択」または「新規イメージの取り込み」から任意の画像を選択します。 |
明るさ | 画像を明るくして、コントロールラインを見やすくします。 0%にすると元の画像の明るさになります。 |
リファレンスオブジェクト | 14-2.で配置したCamera Matchリファレンスを選択します。 |
延長線のスタイル | Camera Matchオブジェクト内で表示させるコントロールライン延長部の線種を選択します。 |
4. OKボタンをクリックし、Camera Matchオブジェクトを配置します。加工>前後関係>最後へ を選択しておきます。
14-3-3. コントロールラインとリファレンスターゲットを調整する
Camera Matchオブジェクトは、取り込んだ背景画像以外に「コントロールライン」や「リファレンスターゲット」といった情報を持っています。
これらを使用して、背景画像の消失点を設定したり、モデルを合成する位置を決めたりします。
コントロールライン(緑・青・赤): |
画像内のそれぞれ左右・垂直方向の消失点を決定します 寸法が分かる部分を基準線に指定します |
リファレンスターゲットポイント: |
Camera Matchリファレンスで設定したポイントが画像内のどの位置になるか、設定します |
プレイビューオブジェクト: |
現在の設定に従って、計算されたパースを表示します |
1. コントロールラインを画像に合わせて移動させ、リファレンスターゲットポイントを任意の場所に配置します。
2. オブジェクト情報パレットの「基準線:」の項目から、寸法が分かるコントロールラインを選択します。「基準線の長さ:」に、選択したコントロールラインの長さを入力します。
プレイビューオブジェクトの大きさは、オブジェクト情報パレットの「プレイビューオブジェクト設定」から任意に変更できます。各面の長さをモデルの大きさにすることで、実際にビューを合成する前にどの程度揃っているかを確認できます。
14-3-4. ビューを調整する
1. オブジェクト情報パレットの「ビュー調整時のレンダリング:」からこれから行うレンダリングの種類を選択します。位置の確認を行う際は、ワイヤーフレームまたはVW-陰線消去レンダリングモードを推奨します。
2. 「ビューを合成」を選択すると、コントロールラインに沿ってモデルが配置されます。
3. 「ビューを調整」を選択し、ダイアログを表示させます。
各項目のバーを動かし、ビューを調整します。
14-4. レンダリングする
1. ビューの調整ができたら、画面右上の「ビューポート注釈の編集を出る」をクリックします。
2. ビューポートをレンダリングします。
14-5. Camera Match マスク
マスクを使用すると、背景画像内の対象物より後ろにしたり、モデルの一部を隠すことができます。
複雑な形状の場合は、画像編集ソフトを使用するのが最適かもしれませんが、単純な形状であれば、Camera Matchマスクを使用して直接処理できます。
14-5-1. Camera Match マスクを配置する
1. Camera Matchを作成したビューポートの注釈の編集画面に入ります。
2. ビュジュアライズツールセットパレットからCamera Matchマスクツールを選択し、モデルの隠したい領域を作図します。
作図したい部分を表示させる
モデルが表示されていて背景画像が見えない場合は、まず初めに大まかにCamera Matchマスクを描画してから、作図しましょう。
必要なマスクを作図できたら、初めに描画した大まかなマスクは削除します。
Camera Matchマスクの調整
作図後、マスクの上でダブルクリックすると頂点の編集モードに切り替わります。ここでは、Camera Matchマスクの形状を変形ツールと同じように調整することができます。
14-5-2. Camera Match マスクのクローンモード
Camera Matchマスクのクローンモードは、背景画像の不要な部分を隠すのに便利な機能です。
1. 作図したマスクオブジェクトを選択し、オブジェクト情報パレットの「クローンモード」を有効にします。クローンモードではマスクオブジェクトにハンドルが配置されます。
2. ハンドルを動かすと破線の図形が表示されます。この破線内の背景画像がマスクオブジェクト内に表示されます。
14-6. まとめ
Camera Matchを使って、モデルと現地写真を組み合わせた、よりリアルなパースを作成しましょう!
その他、Camera Matchレンダリングに影を追加するCamera Matchシャドウツールやオブジェクト情報パレット内のパラメーターに関する内容は、Vectorworks ヘルプからご確認ください。
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