よくある質問解説講座

第13回「現場写真とモデルを合成する」

FundamentalsArchitectLandmarkSpotlightDesigner

この記事は【2020年8月4日】に公開されたもので、2年以上経過しています。
記事の内容が古くなっていたり、新機能の追加・機能の改善が図られていることがあります。

今回は、作成した3Dモデルに撮影した写真を合成し、リアルなイメージ制作が行える「Camera Match」の使用方法をご紹介します。

「Camera Match」は、写真の上に消失点を設定し、3Dモデルの透視投影表示を写真と合わせる機能です。擬似影の作成やマスキングによって、よりリアルなパースイメージを作成できます。

14-1. 背景画像(写真)の準備

背景画像を選択する際は、以下項目に注意しましょう。

  画像サイズについて
最終的に作成するイメージと同じサイズ、解像度の背景画像を推奨します。


レンズについて
遠近感を強調したり極度に歪んでいたりする、特殊なレンズで撮影した画像は合成できません。


 モデルのスペースについて
画像は、3Dモデルが入るスペースを確保しましょう。


カメラの向きについて
カメラの向きが建物の正面のちょうど垂直になっているなど、写真を正面から撮影してコントロールラインがほぼ平行になると、計算するビューはエラーを起こしやすくなります。
同じく
(撮影時の)消失点が写真の中心の至近距離にあると、計算されるビューはエラーを引き起こしやすくなります。

 

14-2. モデルの向きを設定する

背景画像に合成するモデルの向きをCamera Matchリファレンスで設定できます。3つの軸で消失点を定義しています。

緑軸:左側の消失点 青軸:垂直方向の消失点 赤軸:右側の消失点
  Camera Matchリファレンス:
Camera Matchに対して3D空間におけるモデルの向きを設定します

基本的にモデルのコーナーに配置し、2つの軸はコーナーで接する壁など、別方向の2つの垂直面に沿わせます。

14-2-1. Camera Matchリファレンスを配置する

1. ビューCamera MatchCamera Matchリファレンスを配置を選択し、任意の名称を入力します。

2. モデル上の任意の位置で一度クリックし、マウスを動かすと青軸を中心に回転します。方向をモデルに合わせ、もう一度クリックすると配置完了です。

 

14-2-2. Camera Matchリファレンスの設定

Camera Matchリファレンスを配置したコーナー角が90度でなければ、オブジェクト情報パレットの角度に数値を入力するか、2D/平面のビューから角度を変更できます。

また、オブジェクト情報パレットから内部コーナーのオンオフが設定できます。

Camera Matchリファレンスを配置したポイントが(屋内から見た場合などの)内部コーナーに配置されている場合は、「内部コーナー」を有効にします。

矢印の方向が変わります

 

14-3. Camera Matchオブジェクトの配置・設定

背景画像は「ただ単純な画像」としてではなく、Camera Matchオブジェクトとして取り込みます。

14-3-1. ビューポートを作成する

合成するモデルをすべて表示させ、任意のシートレイヤにビューポートを作成します。

ビューポートの詳しい作成方法については、Architect解説記事:第6回「ビューポート」をご参照ください。

14-3-2. Camera Matchオブジェクトを配置する

1. 作成したビューポートをダブルクリックし、注釈を選択してOKボタンをクリックします。

2. ビューCamera MatchCamera Matchオブジェクトを配置を選択し、背景画像を選択します。

3. Camera Match設定ダイアログが表示されます。

背景画像 現在のファイルから選択」または「新規イメージの取り込み」から任意の画像を選択します。
明るさ 画像を明るくして、コントロールラインを見やすくします。
0%にすると元の画像の明るさになります。
リファレンスオブジェクト 14-2.で配置したCamera Matchリファレンスを選択します。
延長線のスタイル Camera Matchオブジェクト内で表示させるコントロールライン延長部の線種を選択します。

 

 

 

 

 

4. OKボタンをクリックし、Camera Matchオブジェクトを配置します。加工前後関係最後へ を選択しておきます。

配置されたCamera Matchオブジェクト

14-3-3. コントロールラインとリファレンスターゲットを調整する

Camera Matchオブジェクトは、取り込んだ背景画像以外に「コントロールライン」や「リファレンスターゲット」といった情報を持っています。

これらを使用して、背景画像の消失点を設定したり、モデルを合成する位置を決めたりします。

コントロールライン
  コントロールライン(緑・青・赤):
画像内のそれぞれ左右・垂直方向の消失点を決定します
寸法が分かる部分を基準線に指定します
リファレンスターゲットポイント
  リファレンスターゲットポイント:
Camera Matchリファレンスで設定したポイントが画像内のどの位置になるか、設定します
プレイビューオブジェクト
  プレイビューオブジェクト:
現在の設定に従って、計算されたパースを表示します

 

1. コントロールラインを画像に合わせて移動させ、リファレンスターゲットポイントを任意の場所に配置します。

2. オブジェクト情報パレットの「基準線:」の項目から、寸法が分かるコントロールラインを選択します。「基準線の長さ:」に、選択したコントロールラインの長さを入力します。

背景画像内のスケールを定義します

プレイビューオブジェクトの大きさは、オブジェクト情報パレットの「プレイビューオブジェクト設定」から任意に変更できます。各面の長さをモデルの大きさにすることで、実際にビューを合成する前にどの程度揃っているかを確認できます。

設定
プレイビューオブジェクトの設定後

 

14-3-4. ビューを調整する

1. オブジェクト情報パレットの「ビュー調整時のレンダリング:」からこれから行うレンダリングの種類を選択します。位置の確認を行う際は、ワイヤーフレームまたはVW-陰線消去レンダリングモードを推奨します。

2. 「ビューを合成」を選択すると、コントロールラインに沿ってモデルが配置されます。

3. 「ビューを調整」を選択し、ダイアログを表示させます。
各項目のバーを動かし、ビューを調整します。

14-4. レンダリングする

1. ビューの調整ができたら、画面右上の「ビューポート注釈の編集を出る」をクリックします。

2. ビューポートをレンダリングします。


14-5. Camera Match マスク

マスクを使用すると、背景画像内の対象物より後ろにしたり、モデルの一部を隠すことができます。

複雑な形状の場合は、画像編集ソフトを使用するのが最適かもしれませんが、単純な形状であれば、Camera Matchマスクを使用して直接処理できます。

14-5-1. Camera Match マスクを配置する

1. Camera Matchを作成したビューポートの注釈編集画面に入ります。

2. ビュジュアライズツールセットパレットからCamera Matchマスクツールを選択し、モデルの隠したい領域を作図します。

マスクの作図イメージ

  作図したい部分を表示させる

モデルが表示されていて背景画像が見えない場合は、まず初めに大まかにCamera Matchマスクを描画してから、作図しましょう。

必要なマスクを作図できたら、初めに描画した大まかなマスクは削除します。

  Camera Matchマスクの調整

作図後、マスクの上でダブルクリックすると頂点の編集モードに切り替わります。ここでは、Camera Matchマスクの形状を変形ツールと同じように調整することができます。

14-5-2. Camera Match マスクのクローンモード

Camera Matchマスククローンモードは、背景画像の不要な部分を隠すのに便利な機能です。

1. 作図したマスクオブジェクトを選択し、オブジェクト情報パレットの「クローンモード」を有効にします。クローンモードではマスクオブジェクトにハンドルが配置されます。

2. ハンドルを動かすと破線の図形が表示されます。この破線内の背景画像がマスクオブジェクト内に表示されます。


14-6. まとめ

Camera Matchを使って、モデルと現地写真を組み合わせた、よりリアルなパースを作成しましょう!

その他、Camera Matchレンダリングに影を追加するCamera Matchシャドウツールやオブジェクト情報パレット内のパラメーターに関する内容は、Vectorworks ヘルプからご確認ください。

よくある質問解説講座第7回:「もっと詳しく調べたい!」

 

 

 

 

 

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