Architect解説講座

第1回「ストーリ」

ArchitectDesigner

1.1 ストーリの考え方

建物には各階の高さと、各階におけるさまざまな仕上げレベルが存在しています。Vectorworks Architectでは、これらのFLや仕上げレベルを明示的に設定し、モデリングのガイドとして使用することができます。

1.1.1 ストーリとストーリレイヤ

ストーリは1つの階を意味し、ストーリレイヤは1つの階に含まれるさまざまな仕上げレベルを表します。
ストーリレイヤは各ストーリに関連付けられるため、ストーリの移動に伴ってストーリレイヤも自動的に移動します。

ストーリの構成

 

1.1.2 ストーリの高さとレベルタイプ

2階を例にとってみます。2階のFLが「3,000mm」として、FLの基準をスラブ上端だとします。その場合、まず2階のストーリを高さ「3,000mm」に作成し、2階に含まれるストーリレイヤのうち、スラブのレベルを「+0mm」に設定します。こうすることで2階のFL基準をスラブとし、高さを「3,000mm」にすることができます。さらに、床仕上げが「2階FL+100mm」だとすると、床仕上げのストーリレイヤを「+100mm」として作成します。
つまり、ストーリ自体の高さはGLからの絶対値として設定し、ストーリレイヤは所属するストーリの高さからの相対値として入力します。ストーリレイヤの高さを後から変更することはできますが、ストーリ自体の高さは変わらず、ストーリ内の相対的な位置関係だけが変更されます。

ストーリの高さ

実践OpenBIM

11. 建築ピボットに聞く

井出:
中規模でグレードの高いオフィスの設計で、SAVE-建築が活用されたと聞いています。 全面ガラス張りのデザイン性の強いオフィスでしたが、建築材料や庇の形状確認などを通して、環境性能の高いオフィスであることを、設計段階で確認しております。

カーテンウォール設定画面

材料設定画面

日よけ装置設定画面

竹口:
SAVE-建築の特徴が見えてきたような気がします。 今までの省エネ設計や計算は設備設計者の領域であったように思われていますが、SAVE-建築は、建築における環境性能が決定する最初期の段階、つまり意匠設計時に使えるように開発されたということですね。

村松:
私達が提唱したいのは、意匠設計からの省エネ解析です。
BIMではフロントローディングが叫ばれておりますが、BIMを積極的に導入しようとする人の意識と、省エネのフロントローディングは近い関係にあるように感じます。


竹口:
BIMの普及とともに、需要は拡大していきそうですね。

村松:
平成22年の省エネ法改正では、300m²以上が届出の対象となったため、ほとんどのビル建築が届出対象となりました。
それまでは省エネ解析は努力義務でしたが、法改正によりニーズは拡大しました。
しかし、今年の省エネルギー基準の改正もあり、設計者や届出業務を担当する企業や部署では対応に追われているのが現状です。

 一方で、金利優遇などのインセンティブ制度を設けて、(アメとムチの政策で)環境性能を底上げしていこうという政府の方針があります。

CASBEEによる評価も、まだ一部の自治体に限られていることから、全国的に需要が拡大していくのはこれからと考えております。

低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進に関する工程表(出展:国土交通省)

実践OpenBIM

10. Solibri Model Checkerの紹介

10-2. Solibri Model Checker の使い方

SMCを起動すると、以下の画面が開きます。

タブが5つ「ファイル」「モデル」「確認」「プレゼンテーション」「情報の取り出し」と並んでいますが、向かって左側のタブから順に操作していくのが基本となります。

10-2-1. 「ファイル」タブ

この画面は、IFCファイルの取り込みを主に行ない、過去に用いたIFCファイルを履歴管理する画面と、IFCモデルが格納されている場所を示す管理画面がデフォルトで表示されます。

また、SMCの言語環境の変更や、各種環境設定、「Ruleset Manager」へのアクセスはここから行ないます。

ファイルタブ

 

10-2-2. 「モデル」タブ

この画面は、Solibri Model Viewer とほぼ同じとなりますが、SMCが日本語表記に対応したことで、IFCに対する親近感が湧くのではないでしょうか。

モデルタブ

実践OpenBIM

9. GLOOBEとのIFC検証

9-3.検証に用いた建物について

今回、検証に用いた建物は、以下の通りです。

  • 階数:地上2階、地下1階
  • 階高:4000mm
  • 部屋数:5(機械室2、事務室2、会議室1)

必ず用いる部位として、以下のものを用いました。

  • スペース(Space)
  • 梁(Beam)
  • 柱(Column)
  • 床/スラブ(Slab)
  • 壁(Wall)
  • 窓(Window)
  • ドア(Door)
  • 地形/地盤(Site)

建物パース

建物立面 / スペース平面

各階天伏図

ミニツール

リアルタイムパラメータ

Vectorworksのプラグインオブジェクトには、様々なパラメータが搭載されており、開口部の編集を自由に行うことができます。ただ、開口部のスタディーとしていろいろな大きさを検討したい場合、データパレットや設定ダイアログで入力するよりも、スライダーなどで直接的に変更したいときがあります。そこで、窓の幅や高さ、高さ位置をダイレクトに調整できる道具をつくりました。

“リアルタイムパラメータ” の続きを読む

実践OpenBIM

8. CADWe’ll TfasIV との連携

「壁スタイルの置き換え」で、内壁、外壁を一括で設定変更します。

壁スタイルの置き換え

 

柱を挿入していきます。
( 一番最初に柱を配置し、壁を作成、スペースを自動作成という方法もあります。 Vectorworksは、モデリングの方法が多様で柔軟です。)

柱の挿入

 

建具や階段を挿入します。 建具や階段等の建築要素は、3Dパラメトリックモデルとして用意されているので、モデリングするというより、配置していく感覚に近いです。

建具の挿入

スラブを作成します。
柱が貫通する部分等、BIMならではの考慮点があります。正確にモデリングすることを意識して下さい。

スラブ作成

ツールセットの「詳細」より軸組ツールを選択して単純梁を作成し、柱間を渡します。この際、壁の高さを調整して、梁とかぶらないように調整します。

モデリング過程1

ツールセットの「家具/建具」より「天井格子」を選択して天井を作成します。

モデリング過程2

2階に1階モデルを複製します。必要であれば修正を加えます。

モデリング過程3

3階を作成します。

モデリング過程4

屋上スラブと、棟屋、手摺を作成します。

モデリング過程5

カスタムモデルは一切存在しませんので、このままIFCとして出力します。
(通り芯は、IFCを出力するアプリケーションによっては、出力されない場合があります。)

連携アプリケーションへIFCを渡す際は、Solibri Model Viewer等の中立的なビューアー でモデル形状等を確認しましょう。

SMVでの確認