マリオネット・スクリプト解説講座

第33回「マリオネットツール バージョン2023の新機能」

ArchitectLandmarkSpotlightDesigner2023

Vectoroworks 2023のリリースが近づいてきましたね!もちろん、マリオネットツールも搭載されます。今回は、最新バージョン2023のマリオネットツールの新機能をご紹介します。

33-1. プラグインスタイルの対応

マリオネットオブジェクトにてプラグインスタイルが使用できるようになります。

リソースに登録したスタイルを編集すると、スタイルを適用しているマリオネットオブジェクトに編集内容が反映されます。マリオネットを含めプログラムに修正や変更はつきものです。マリオネットにおいてもスタイルを活用することで、修正の手間が大幅に短縮されます。

33-1-1. スタイルの作成と編集

マリオネットオブジェクトに「スタイル」のプロパティが追加されます。スタイルなしのプラグインから新規プラグインスタイルを作成…を選択すると、アクティブなマリオネットオブジェクトが内包するマリオネットネットワークをプラグインオブジェクトスタイルとして登録します。

スタイルが割り当てられたマリオネットオブジェクトのスタイルの編集…か、リソースマネージャに登録されたスタイルのコンテキストメニュー編集から、スタイルのネットワークを編集することが可能です。ここで編集されたネットワークは直ちに実行され、スタイルが適用されたすべてのマリオネットオブジェクトに反映されます。

33-1-2. リソースマネージャからプログラムを実行

リソースマネージャ上で、マリオネットのスタイルからコンテキストメニューを開くと実行コマンドが表示されます。オブジェクトのネットワークをスタイルとして登録しておけば、ネットワークのプログラムをリソースマネージャから直接実行してその結果を得ることができます。

マリオネットのスタイルが含まれたドキュメントを配布するだけで、受け取り側は特別な準備を必要とせず、リソースマネージャからすぐにプログラムを実行することができるようになります。

33-2. Python外部ライブラリの自動インストール

マリオネット開発者が自作のノードを配布するとき、ノード実行時に必要なライブラリを自動的にインストールすることができるようになります。

マリオネットのノードはPythonベースで記述されており、マリオネット開発者はPythonに用意されている豊富なライブラリを利用することができます。しかしこれまで、Pythonのライブラリの利用には、Vectorowoksに内容されるPythonのバージョンに合わせて専用のライブラリを実行環境にインストールする必要があり、開発者としてもノードの利用側としてもハードルが非常に高い状態にありました。

バージョン2023のマリオネットツールでは、自作のノード開発時に、ノードのコンストラクタにおいてノードとPythonライブラリとの依存関係を記述することができるようになります。ノードの実行時には、この依存関係の記述をもとに必要なPythonのライブラリが実行環境に自動的にインストールされますので、Pythonのバージョンとライブラリの紐付けやインストール作業から解放されます。

33-2-1. ノードとライブラリの依存関係の記述

ノードのコンストラクタではMarionette.Nodeにてノードを定義します。ライブラリの依存関係はこの定義内にオプションのパラメータとして記述します。

ノード定義は以下の順番で記述します。

    1. ノード名
    2. ローカライズ名
    3. ノードのバージョン
    4. 依存関係を示すリスト

依存関係を示すリストには、タプル型のデータを記述します。

タプルは次の2つのデータで構成します。

    1. Pythonライブラリの名前
    2. ライブラリのバージョン

複数のライブラリが必要な場合は、このタプル型のデータをリストに追加していきます。

依存関係のオプションが記述されたノードでは、実行時にライブラリが不足している場合、必要なライブラリを検出してインストールする画面が表示されます。

33-2-2. 利用可能なPythonライブラリ

ノードのコンストラクタにて利用可能なPythonライブラリはVectorworks開発者サイトにて公開されます。

Vectorworks開発者サイト

もはやベーシックとも言えるNumpyをはじめとして、数学的な機能を実装するSciPyや、画像処理を得意とするPillowなど人気の高いライブラリがリストアップされています。リストにないライブラリが必要な場合でも、開発者はVectorworks社にリクエストすることが可能となっています。

33-2-3. Pythonライブラリの手動インストール

必要なPythonライブラリを手動でインストールする機能も追加されます。マリオネットツールの設定メニューに「Pythonライブラリのインストール」ボタンが追加され、URLのフィールドにwhlファイルのパスを入力することで指定したPythonライブラリを実行環境にインストールすることができます。

リストにないPythonライブラリや自作のPythonパッケージなどをマリオネットで利用する場合にインストール作業を手助けしてくれます。


今年のDesign Blogは、本記事を持って終了となります。本年も大変お世話になりました。Vectorworks Design Blogでは2023年も役立つ情報を発信して参ります。お楽しみにお待ちください。

それではどうぞ良いお年をお迎えください。

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