Open BIMの検証として、今回は株式会社NYKシステムズの「Rebro 2011」と、Vectorworks Architectから出力されたIFCデータの連携をご紹介します。
アプリケーション内の仮想世界に”建物を建設”するような統合的なBIMにおいて、建築に関わるあらゆる要素を再現し、可視化、図面化することはBIMの大きなテーマとなっています。
他社の意匠系BIMアプリケーションでは、強力な設備モデラーを搭載している、またはグループ企業にてリリースされていることが少なくなく、建築設備の3D設計は、BIMにおいて大きな位置を占めていると言えます。
しかしながら、Vectorworksにおける標準的な設備オブジェクトは、設備の概要を決定するものであり、設備が扱う流量等を加味した最終的な仕様を決定することは出来ません。
そこで、openBIM、とりわけIFCを用いたモデルの統合により、海外製品では実現出来ない、日本の設計習慣に合ったBIMモデルを、Vectorworks上で実現することが可能です。
今回は、3D設備アプリケーションとして定評のある、NYKシステムズの「Rebro 2011」との連携をお伝えします。
□NYKシステムズに聞く
NYKシステムズ 開発部 部長 小倉氏へ製品に関してインタビューを行なってきました。
3D設備アプリケーションの「Rebro 2011」の概要と、設備設計における3Dの有用性について、お話頂きました。
上から、NYKシステムズ小倉氏、A&A竹口
竹口:
Rebroは、3D設備アプリケーションですが、その特徴をお聞かせ下さい。
小倉:
Rebroは、3Dモデル空間に属性付きのオブジェクトをモデリングすることを基本としたCADです。
ご存知の通り、属性を持った3Dモデルを作成出来ることがBIMアプリケーションの必要条件ですが、 Rebroは2008年の発売以来、一貫してその姿勢で開発してきました。
2009年は、BIM元年と言われ、BIMの情報を多く耳にするようになりましたが、既にRebroはBIMの条件に合致していました。
竹口:
特にねらった訳でもなく、上手く社会風潮に合致した感じですか。
小倉:
私達が作りたいと思って開発した製品と、BIMが合致した感じです。
私達は、IAIに参加しておりますが、そこで出会った「属性を持ったオブジェクト」の考え方は大きなヒントになりました。 さらに、貴重 な時間を割いて業務知識を教えてくださるユーザーの方々がいて、はじめて中身の詰まったアプリケーションになったと思っています。
また、設備システム研究会の参加も開発の大きな刺激になっています。
竹口:
他社の設備CADとの一番の違いは何処でしょうか。
小倉:
初めてのリリースが2008年と比較的新しい製品です。既存の概念に捕われないインターフェースや操作感を実現しているところでしょうか。
竹口:
既存の概念というと?
小倉:
コマンドは極力少なくし、オブジェクトの移動や変形はハンドルで操作できます。
今までのCADはコマンドや操作手順を覚えて、ようやくCADを使いこなせるようになりますが、RebroはCADを使いこなすのではなく、触っていると自然と出来上がることを目指して開発しました。ユーザー様から Rebro は図面を描いているのではなく、プラモデルを作っているような感覚だと言われたことがあります。
3D空間で回しながら、ラインを移動したり、部材を組み合わせたりして仕上げていきます。
ただ、簡単なのは操作だけで、実際に得られる図面やモデルは詳細で緻密です。
既存ユーザー様に揉まれてきたノウハウが全て詰まっています。
竹口:
ユーザーさんの意見を反映して開発されているのですね。
小倉:
はい、ニーズの無いものを開発しても仕方がありません。私達はユーザー様からのノウハウ、「 設備屋さんはこう考える…」といったノウハウを製品開発に活かしています。
ユーザー様からの知恵や開発に対する後押しは大きなものがあります。