BIM実践講座

準備編「BIMとVectorworks」

この記事は【2011年6月22日】に公開されたもので、2年以上経過しています。
記事の内容が古くなっていたり、新機能の追加・機能の改善が図られていることがあります。

PDFテキスト:準備編「BIMとVectorworks」

1. はじめに

■BIMとは

Building Information Modelingの略称であり、コンピュータ上に、3次元の形状情報に加え、室等の名称や面積、仕上、材料・部材の仕様・性能、コスト情報等、建物の属性情報を併せもつ建物情報モデルを構築することです。

プロジェクト情報を統合した建築のデータベースを構築し、設計から施工、維持管理などライフサイクル全体で活用するための概念です。

BIMとライフサイクル

 

■BIMによる設計者のメリット

・設計内容の可視化

設計者は、建築物という3次元の設計情報をクライアントに提案や伝達するために、多くの図面を作成していました。従来のプロセスでは、図面という2次元の表現に置き換える必要があり、図面と設計情報の整合性に問題や課題がありました。

しかし、BIMモデルでは、建築物を3次元として確認ができ、2次元の図面情報とも連携しています。あらゆる部分を自由に見ることができ、3次元のイメージではなく設計情報をそのまま可視化することができます。クライアントや関係者だけでなく、設計者にとっても思わぬ発見をもたらします。

 

・設計情報の確認と品質確保

BIMモデルでは、構成要素をカテゴリ分けし、オブジェクトごとにパラメータを付加したかたちでモデルを構築しています。BIMモデルからは面積や数量、仕様情報などを集計・確認することができ、修正や変更に対しても即時にモデルに反映されます。図面情報の不整合を防ぎ、設計情報の確認や検討をおこなえるため、結果的に品質の確保や向上へと繋がっていきます。

 

・設計情報の構築手法と生産プロセス

従来の設計プロセスでは、設計者がデザインを検討し図面化した後に、パースやプレゼン資料などを作成していました。その作業は順次段階的に行われているため変更があった場合は、前段階へ影響し、修正作業への負担は大きいものでした

 

■VectorworksとBIM

Vectorworksは、汎用CADアプリケーションですが、オブジェクト指向の開発コンセプトやワークシートによる集計機能など従来からの特徴は、BIMとの親和性が非常に高いです。さらにBIMに対応する機能も続々と追加されているため十分BIMに対応出来るアプリケーションとなっています。

すでに海外では、BIMによる公共建築物のコンペにおいて、Vectorworksの活用で受賞*するなどの実績があり、BIMに先進的な地域でのVectorworks活用報告が多数あります。*http://www.statsbygg.no/Utviklingsprosjekter/NationalMuseum/

さらに、Parasolidによるモデリングの自由度は極めて高く、デザイナーの発想を妨げることなく3Dモデルをかたちにすることができます。