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【海外事例】英国最大の音楽フェスティバルのためのデザイン

英国を拠点とする照明レンタル会社SiyanのデザイナーであるBen Inskip氏は、Vectorworks Spotlightの熱烈なファンで、ソフトウエアの使用方法を全社員と共有しています。

Ben Inskip氏が、BBCラジオ1のBig WeekendやReading & Leedsフェスティバルの8つのステージなどのプロジェクトで、Vectorworks Spotlightをどのように使用しているのかご紹介します。

Ben Inskip氏はVectorworks Spotlightと、MVR(My Virtual Rig)の使用を会社全体に広げました。MVRは、VectorworksからPrevizアプリケーション(以下、プレビズ)やライティングコンソールに3Dモデルと器具をシームレスに送信するために、GDTFグループによって開発されたオープンファイル形式です。

彼によると、ソフトウエアの使用範囲を広げ全社員と共有することで、より協力的なデザイン環境が実現し、「今では全員が同じ認識を持っているので、ビデオ部門や装置部門はファイルにアクセスして担当する作業ができ、すべてひとつのファイルから出力できるので、図面の整合性が保たれます」と語ります。

そして、Vectorworksの機能を使用することで、これまでより効率的にデザインできるようになります。

1. 迅速な更新のためのファイル参照

Inskip氏と彼のチームメンバーが大規模なショーやフェスティバルのドラフトにかかる時間を節約する方法のひとつは、Siyanのお気に入りライブラリと併せてSpotlightのファイル参照機能を使うことです。

デザイナーは、表題欄、シート、シンボルオブジェクトを、お気に入りライブラリからすべてのデザインにアップロードし、Inskip氏がこれらの要素に変更を加えたい場合、変更はすべてのファイルに自動的に適用されます。Inskip氏によると、このプロセスにより、特にBBCラジオ1のBig WeekendやReading & Leedsフェスティバルの8つのステージなど、毎年行われるフェスティバルのデザインに微調整を加える場合に、彼と彼のチームは多くの時間を節約できるとのことです。

 

2. 照明デザインワークフローの一部を自動化するアルゴリズムデザイン

ファイル参照と並行して、Siyanのチームは時間節約のためにMarionette(以下、マリオネット)も試しています。Inskip氏は彼とチームメンバーがこの機能を使用して、構成要素を再分類する方法を共有しながら「とても気に入っています!」と声をあげ、「私はコードを書くこともできますが、マリオネットを使用すると複雑なことを自動化することができ、チーム全体の作業がスピードアップします」と語りました。

馴染みのない方のために説明すると、マリオネットは、ユーザー定義のスクリプトに基づいて、独自のオブジェクトや関数をベースに形状を生成するためのアルゴリズムを使用した設計ツールです。マリオネットのようなプログラムのアルゴリズムは、Siyanが使用する再分類など、面倒なプロセスを自動化するのに最適です。

Rhinoceros上で動作するGrasshopper(グラスホッパー)や、Revit上で動作するDynamo(ダイナモ)と同じように、マリオネットはVectorworks上で動くビジュアルプログラミング環境で、より高度な自動化とカスタマイズを実現する方法です。従来のテキストに基づいたスクリプトではなく、マリオネットはビジュアルスクリプトインターフェイスを使用します。つまり、スクリプト言語を理解する必要はありません。

アルゴリズムデザインは、ワークフローを迅速に処理する優れた方法です。わかりやすいノードのデフォルトライブラリを使用して、基準を定義するか、独自のカスタムノードを作成するだけです。

マリオネットについて詳しく知りたい方はこちら

3. MVRを使用してこれまでにないデザインを実現

Inskip氏がデザイン方法を最新化した3番目の方法は、Vectorworks Spotlightを使い始めたと同時にMVRファイル形式を使ったことです。

MVRは、デザイン内のすべての照明器具のGDTFファイルと、位置と要素が書き込まれた完全な3Dモデルデータをパッケージ化するオープンファイル形式のコンテナフォーマットです。
これにより、Visionを使用してプレビズを簡単に実行し、Vectorworksのデザインをコンソールに直接送信できるようになります。

Siyanのチームはこのファイル形式を使用してVectorworksからDepenceGrandMA3コンソールと共有します。

Inskip氏は、「『まちがいなく、このひとつのファイルを出力すれば、DepenceとMAに直接送信することができる!』というのは魅力的でした。そして、いくつかの調整をするだけで、ビジュアライザでリグをコンソール制御できるようになり、プログラムを開始したり、プレゼンテーション資料を作成することができます」と語りました。

4. MVRも使わなければならない理由

2018年、VectorworksはMA LightingRobeと提携して[GDTF(General Device Type Format)]として知られている新しいオープンスタンダードのフォーマットを業界に導入しました。このフォーマットはエンタテインメント業界の多くの最大手ブランドからサポートを受けて本格的に普及してきました。

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その勢いをさらに高めるために、VectorworksはInskip氏と数えきれない世界屈指のデザイナーが使い始めていたファイル形式であるMVRを導入しました。

個々のGDTFファイルはVectorworksのデザイン全体とともにパッケージ化され、MVRファイルが作成されます。MVRを使用すると、デザインのすべての情報と形状をオンボードビジュアライザを使用するプレビズやコントロールコンソールに簡単に送信できます。

MVRでは、すべてがファイルにまとまっています。ですから、最終的にあなたが取り組んでいる作品について、余分なファイルやフォルダーで行き詰まることなく、時間を節約して次のプロジェクトに進むことができます。

MVRについては、以下のビデオをご覧ください。

MVRがデザインワークフローにどのような変革をもたらすかについて、詳しくは「MVRでワークフローを合理化」(関連動画:英語)をご覧ください。

画像提供:Ben Inskip and Siyan
元記事:Planet Vectorworks