マリオネット・スクリプト解説講座

新着記事第54回「パラメトリックなベンチ その1」

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座面のサイズや背もたれの高さをパラメトリックに変更するベンチのマリオネットオブジェクトを作成します。今回は”その1″としてベンチの断面を作図するプログラムの作成方法を解説します。

パスに沿って複数のベンチを配置するプログラムをマリオネットで作成する方法を第54回から複数回に渡って解説します。配置数や座面や背もたれの大きさなどそれぞれパラメトリックに変化させるパラメトリックベンチを作っていきます。

ベンチの断面は、座面の形状と背もたれの形状を円弧の頂点を使用した曲線で作成します。各頂点のRの値を指定しながら、ベンチの断面を作っていきます。

54-1. 変数を決める

ベンチの断面を設計して、変数とする寸法を決めます。

今回は全ての変数をスライダーを使用してパラメトリックに操作します。変数の数だけSliderノードを用意して名前をつけます。

ここでは、スライダーの値の範囲と初期値を次のように設定します。

    • L1:200〜1000, 初期値:280
    • L2:200〜1000, 初期値:500
    • L3:200〜1000, 初期値:380
    • L4:200〜1000, 初期値:460
    • R1:0〜500, 初期値:140
    • R2:0〜500, 初期値:140
    • R3:0〜500, 初期値:190
    • R4:0〜500, 初期値:150
    • R5:0〜500, 初期値:150
    • R6:0〜500, 初期値:150

Sliderノードで値の範囲と初期値の設定を行う場合は、スクリプトの編集…からコードを直接編集する必要があります。

最初に、編集内容を保存するために1行目の記述を削除します。

次に、値の範囲と初期値を定義する部分を、上記値の範囲を参考にして修正します。

最後にOKボタンで編集ダイアログを閉じて編集内容を保存します。Sliderノードのスライダーのパラメータに反映されます。

54-2. 頂点の座標の作成

L1〜L4の変数を組み合わせて、断面の頂点の座標を求めます。ベンチの断面は6点の頂点で構成されます。

addノードで値を加算しながら、Point 2Dノードに入力して2Dの座標に変換します。Point 2Dノードでは入力のないポートは0として扱います。

6点の座標を作成できたら、Ordered Listノードに座標が時計回りになるように、順番に入力します。

Create 2D Polyノードに入力して多角形に変換します。この時点ではカクカクの状態です。

54-3. Rの値を反映する

Set 2D Vertexノードは多角形・曲線の頂点の情報を変更することができます。

頂点数だけSet 2D Vertexノードを配置して、ノードのパラメータから頂点の種類を円弧指定(Arc)に変更した上で、それぞれR値を設定します。

頂点の座標値は変更がないため、元の値をそのまま入力します。

二つ目以降は、一つ前の頂点のSet 2D Vertexノードの結果のハンドル使います。

頂点番号が0番から始まる点に注意しながらワイヤーを繋げていきます。この辺りからワイヤーの整理が難しくなってきます。Passノード等を使って整理するか、ある程度割り切ってどんどん繋げていきましょう。

Rが反映されて滑らかな断面に変わりました。

54-4. 背もたれの高さを変える

断面作成の最後のステップです。背もたれ部分の高さを変更します。Set 2D Vertexノードを2つ追加して頂点番号0番と1番のy座標を変更します。

ここでは、背もたれのベースの高さに加算する方法で高さの値を変更します。Get Vertexノードで現在の高さ(y座標)を取得した後、addノードで加算します。ここでは0番と1番の頂点にそれぞれ1000mm加算します。

円弧頂点のRについては設定済みの値をGet Arc Vertex Radiusノードで取得してそのまま使用します。

実行すると、0番と1番の頂点がy方向に1000mm移動し、背もたれが伸びるように変化しました。

次回は、作成した断面を3D化して、パスに沿って複製配置する方法を紹介します。

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