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【海外事例】WELL認証の細部までこだわったインテリアデザイン

クライアントのウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)にプラスの影響を与えるデザインをしたいと思いませんか?

世界最大の行動エンゲージメントプラットフォーム「Vitality」は、新しい本社オフィスを計画する際「心身ともに健康であること」を最優先事項とし、健康的なライフスタイルへの取り組みの証として、WELL Gold 認証を取得したいと考えました。この記事では、彼らがその夢をどのように実現したのかをご紹介します。

VitalityはWELL Gold 認証という夢を実現するために、専門家である geniant + Eastlake StudioJLLに協力を求めました。Vitalityの新しい本社オフィスの具体的な内容紹介の前に、WELL Building Standardと、それがより健康的なスペースをどのようにつくれるのかにも触れておきます。

1. WELL認証とは?

WELL認証は、ウェルネスデザインが単なる実店舗やオフィスの解決策ではなく、人々に関わるものであると捉えています。実際 WELL Building Standard には、身体と心の健康を促進するための対策が含まれています。

彼らのWebサイトによると、WELL認証は10のカテゴリーにわたって、「健康達成の最高点を獲得することで、健康への取り組みを証明する」とし、これら10のカテゴリーには「空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ」が含まれます(参考:グリーンビルディングジャパン)。

WELLのリストでは、共用スペースのようなものが人々の生活にどのようなプラスの影響を与えるかについても考察しています。また、第三者機関の具体的な評価指標による性能認証であるWELL認証では、必要な健康上の考慮事項がすべて満たされ、今後も満たされ続けることを確認するために、認証審査員が現地を訪問する必要があります。

2. Vitalityの新しいWELL Gold 認証オフィス

WELL認証オフィスというVitalityの夢を実現するために、geniant + Eastlake Studio は、JLL のシニアサステナビリティプロジェクトマネージャーである Uma Patwardhan 氏と連携して、WELL Gold 認証取得を確実なものとしました。

Patwardhan氏は「私たちは、WELL認証の実現可能性を調査するために、基本設計の初期段階から参加しました。その時、クライアントは『人々の健康づくりに取り組む世界的な福祉企業として、人々が居たい場所をつくることを職場復帰戦略の中心に据えたい』と私たちに話しました」と語りました。

実現可能性調査を行うために、Patwardhan 氏はプロジェクトチーム全体でWELLワークショップを実施し、現在の設計意図、設計と調達のガイドライン、および Vitalityの人事(HR:Human Resources)ポリシーをより深く理解しました。Patwardhan 氏はチームにWELL要件を詳しく説明し、望ましいWELL認証を取得するためにプロジェクトに取り込める戦略を特定しました。

実現可能性調査の最後に、Patwardhan氏は「このスペースはWELL Gold を取得できると判断されました。そしてそれは、大きな成果となるでしょう」と語りました。WELLワークショップと、現在と将来の望ましい状態を決めるためのギャップ分析の結果に基づいて、最も効率的かつ経済的に認証を取得するための推奨事項と、潜在的なコストの増分やスケジュールへの影響を含むWELLアクションプランが作成されました。

その後、Patwardhan氏は計画をプロジェクトチーム全員と共有し、すべての関係者がクライアントの目標と足並みを揃えることができるようにしました。

次に、光、音、食物、運動のカテゴリーに焦点をあて、建築家兼ディレクターのNicole Tabata氏とその他の geniant + Eastlake Studio のチームメンバーは平面図の修正を始めました。たとえば、ウォーターサーバーへのアクセスは最優先事項になりました。

「WELL認証の要件を満たすために、設計プロセスの初期段階で変更された点がいくつかあり、それは構造図や仕様書に至るまでずっと続きました。特定の演色評価数、グレア要件、フリッカー要件を満たす照明器具を選択し、細部にもこだわりました」とTabata氏は述べています。

主な執務エリアは自然光が入るように窓から6メートル以内に配置し、騒音源からは距離を取って、露出した天井の構造にk13静音スプレーを塗布するなど吸音材を使用して、騒音が静かなゾーンに流れ込まないよう配慮しました。

このような防音は、同じオフィス内にアクティブな「共用」スペースとプライベートな「個」のスペースを共存させるという設計上の課題を解決に導きました。

いくつかの決定事項は、オフィスの間取りや材料とまったく関係ありませんでした。たとえば、オフィスの立地は認証目標の達成に貢献する多くのポイントを獲得しました。オフィスは徒歩でアクセスしやすい、シカゴの象徴的なユニオン駅のすぐ近くにあり、プロジェクトの運動カテゴリーでの目標達成に有益でした。

「これらすべては健全な職場、従業員の満足度、そしてウェルビーイングにつながります」とTabata氏は語りました。

関連記事:geniant + Eastlake Studio によるパンデミック後のデザイン(英文)

 ウェルビーイングとは一般的に「身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること(広い意味での幸福)」を表す概念で、Well-being(ウェルビーイング)という言葉は、WHO設立の憲章前文「Health(健康)」を定義する文章の中(日本WHO協会:世界保健機関憲章前文健康の定義について)で使われています。

3. Vectorworks Architect で Vitality の夢のオフィスを実現する

「WELL認証プロセスの最初の部分は書類の提出です。そこで、この計画のドラフトとモデリングはすべてVectorworksで行いました」とTabata氏は語りました。

WELL認証申請の一環として、geniant + Eastlake Studio は、執務スペースから外窓までの距離、ウォーターサーバーまでの歩行距離、静かなゾーンと賑やかなゾーンなど、いくつかの図を作成しました。

Vectorworks Architectは、正確な測定と計算に加えて、チームがこれらすべての健康に関する考慮事項を書類にすることにも有用でした。

データが豊富なBIMソフトであるVectorwork Architectは、geniant + Eastlake Studioが以前のソフトから切り替えて以来、設計プロセスの重要な部分を占めています。そして、WELL Gold 認証を取得するために必要な追加計画と図書化すべてを考えると、このVitalityのプロジェクトも例外ではありませんでした。

関連記事:この象徴的なプロジェクトに関する同社独自のケーススタディ(英文)

4. ウェルネスデザイン ー トレンドではなく、必要不可欠なもの

Vitality、geniant + Eastlake Studio、そしてJLLだけではありません。居住者の健康を念頭に置いて設計することの重要性が高まっています。

空気の流れ、自然光、材料などで、より健康的なデザインをする方法について、詳しくは、関連記事:ウェルネスデザイン ー トレンドではなく、必要不可欠なもの(英文)をご覧ください。

 

画像提供:geniant + Eastlake Studio, Kendall McCaugherty
元記事:Planet Vectorworks