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AIAカンファレンス in アトランタ – 2

この記事は【2015年5月17日】に公開されたもので、2年以上経過しています。
記事の内容が古くなっていたり、新機能の追加・機能の改善が図られていることがあります。

いくつかセッションを聞きました。
たくさんのセッションがあり、意匠から設備、環境まで盛りだくさんです。

ただ、一番早いもので7時前から始まるため、5時起きです。日本だとたいてい9時くらいからですよね。

 ■授賞式と基調講演:ビル・クリントン

AIAゴールドメダルの発表がありました。今年はシンガポールのマーナベイサンズを設計したモシェ・サフディ氏でした。何年か前は槇文彦さんが受賞されていましたね。

そして、元大統領の登場です。

クリントン元大統領

健康問題や経済対策、環境問題に対する彼の設立したクリントン基金の話をしながら、建築家に対する希望などを語っていました。近年ではインド洋津波やハイチ地震での復興に関わっているようです。

ちなみに、7,000人以上の聴衆がいたとのことで、入場は長蛇の列でした。
これだけの人の前でユーモラスに話せるのはすごいことだと思いました。聴衆もノリが良いというのもあると思いますが。

入場の列

 

他に通常セッションを聞いたのですが、いくつかを文章で。
ハンドアウトの資料はあるのですが、転載不可なので…

■70億人の都市

この星を1つの都市として扱うことによって、世界各地の都市化の状況を新しい側面で捉えることができるのではないかという研究です。

スライドでは、地図では見えない「線」、例えば電線や航路などをプロットしていくことによって各地がどのように繋がっているのかを可視化していました。網の目のように張り巡らされています。

さらに視点を引いていき、地球の周囲にある無数の人工衛星が映し出され、地球の都市化と都市としての地球の状況を話していました。

各都市の状況は、人口動態をブロックとして表現し、時系列でどのような推移をしているのかを見せていました。

 

■米国BIM標準を活用したより良いIPD

IPDは統合プロジェクト推進のことで、様々な業種が同時並行的に関わり合いながらプロジェクトを進めようとするものです。

セッションでは、米国BIM標準(National BIM Standard)のバージョン3を紹介しました。

海外ではCOBie(Construction Operations Building Information Exchange)というものが利用されつつあります。COBieは形状ではなくファシリティ情報を扱うフォーマットです。
バージョン3では、新たにLCie(Life-Cycle Information Exchange)が定義され、以下の4つが含まれているようです。

  • BPie(Building Programming Information Exchange)
  • Sparkie(Electrical System Information Exchange)
  • HVACie(HVAC Information Exchange)
  • WSie(Water System Information Exchange)

なぜ電設だけがESieでないのかが不思議ですが。

 

■施主がBIMに求めているものは何か

おそらく、今ホットな話題だと思います。

アンケート結果を提示しながら話を進め、施主が求めるものはコスト削減だけではなく、建物性能とライフサイクルにまで及びつつあるとしていました。

他国の例として、イギリスでは2016年までにLv.2のBIMを要求するようで、施主も68%がBIMを求めいるとの結果を出していました。さらに、BIMを導入した事務所では、ソフトを使える所員の給料が上がっているようです。

業界と施主との要望の違いとして、業界は「モデル中心」で施主は「データ中心」、業界は「プロジェクト中心」で施主は「建物中心」になっているとしていました。

 

■BIM導入による持続的かつ長期にわたる成長

約10年前にBIMを導入した事務所の発表です。

BIMは、不景気の時期を生き残るために重要なファクターだっとのことです。ただ、導入後すぐにその効果が現れ、時間とともに可能性がどんどん上昇することを期待していたようですが、実際は、ある程度進むと可能性がガクンと落ち込み、それを克服していったようです。

取り組みとしては、導入セミナーの実施と所内でのBIMチャンピオンの育成だそうです。また、プロジェクトリーダにはBIMの利用を義務付けたようです。
さらに、所内テンプレートと標準化マニュアルの作成をおこない、全体に浸透させていったようです。あとは、いきなり作り込み過ぎないようにすることだそうです。